
普段から着物を楽しまれている方で長襦袢を新調するためにご来店頂きました。
購入する際に「実際に手に取って色や質感を確認しながら選びたい」とのご希望をお持ちでしたが、近隣の呉服店などでは取り扱い自体もほとんどなく、生地見本だけでの案内が多かったそうです。
現在の着物市場では、男性用の着物や関連アイテムの流通量は女性用に比べて約10分の1以下だと思います。そのため、多くの呉服店では男性着物の取り扱いが無かったり、あったとしてもごくわずかで、専門的な品揃えのある店舗は限られると思います。
当店は男性着物に特化した専門店として、2024年2月末に京都烏丸にて直営店をオープンしました。できるだけ多くの選択肢をご用意したいのですが、市場規模や売場面積を考えると、無限に種類を取り揃えることは難しいのが現状です。
他店では「取り扱いがない」「生地見本のみでの案内」といったケースが多いなか、当店では実際に手に取って頂いたり、イメージしながら選べるよう、反物や生地見本を取り揃え、実際の色や質感を確かめながらお選びいただける環境を整えています。
現時点では東レシルックの化繊の長襦袢や天然素材の麻100%で通年使える襦袢などの取り扱いがあります。
長襦袢の衿の色選びで着姿が変わる
今回のお客様は紺色系大島紬の着物をお持ちで、長襦袢の衿の色を変えてコントラストを出したいとお考えでした。長襦袢の身頃部分は基本的に着物の下に隠れるため目立ちませんが、半衿は顔周りに近いため、長じゅばんのコーディネートの大きなポイントになります。
色選びのコツですが、
例えば、落ち着いた色合いの着物に白や淡い色の半衿を合わせると、上品で清潔感のある印象に。反対に、濃い色や個性的な色を選ぶことで、よりモダンでおしゃれな雰囲気を演出できます。特に普段着として着物を楽しまれる方にとっては、こうしたちょっとした色使いの工夫が、着姿に新鮮な変化をもたらしてくれます。
お手入れのしやすさも大切なポイント
また、お客様は普段から着物を愛用されているため、「できるだけ気軽に取り扱られる長襦袢が欲しい」とのご希望をお持ちでした。そこでお薦めさせて頂いたのが「東レシルック」というブランドの長襦袢です。東レシルック、絹のような滑らかな風合いを持ちながらも、素材は化繊のため、自宅で洗濯機での丸洗いが可能。さらに、生地が丈夫で静電気も起きにくいため、長く愛用していただける一着です。
長襦袢は着物の下に着るため、あまり目立たないと思われがちですが、衿元や裾からふと見える色や質感が、全体の印象を大きく左右します。また、快適な着心地やお手入れのしやすさも、長く着物を楽しむための重要なポイント。東レシルックであれば肌にも沿いやすい優しい着心地でお薦めです
長襦袢は直接肌に触れるため、汚れやすいアイテムです。そのため、普段使いするならば、ご自宅で手軽にお手入れができて、着心地いいものを選ぶのが賢い選択だと思います。
採寸と仕立ての流れ
長襦袢を仕立てる際に気を付けておきたいのが「裄丈(ゆきたけ)」の長さです。裄丈とは、首の付け根から肩を通って手首までの長さを指しますが、長襦袢の場合は着物の裄丈よりも短く仕立てるのが基本です。
今回のお客様は、ご自身の着物の裄丈が正確に分からないとのことでしたので、当店の着物をいくつか試着していただき、おおよそのサイズを確認。そのうえで、少し短めかもしれませんが体型に合った最適な寸法で長襦袢を仕立てることになりました。
国内縫製でお仕立てには約50日ほどお時間をいただきますが、着姿を美しく整えるためには、既製品よりもしっかりと寸法を割り出して仕立てる長襦袢の方が着崩れしにくく長くご使用いただけると思います。
他店では「そもそも選択肢がない」「イメージがつかない」といったお悩みを抱える方が多い中、当店では専門店ならではの知識と品揃えで、品ぞろえも可能な限り増やしていきたいと思います。
今回のお客様もじっくりとお選びいただいたことで、ご自身の着物スタイルにぴったりの一着を見つけていただいたと思います♪