
先日、日本舞踊をされている男性のお客様がご来店くださいました。
ご来店の目的はこれからの暑くなる季節に向けて着用できる単衣(ひとえ)着物の新調です。今お持ちの着物は裏地のある「袷(あわせ)」なので動きのある日本舞踊には暑いと感じられていたので、手入れも楽で軽やかに着られる一着を探しておられました。
じつはこちらのお客様は初めてのご来店ではなく、何度か足を運んでくださっていました。というのも現在は兵庫県にお住まいですが京都にもご実家があるとのことで、京都に立ち寄るタイミングで何度か当店へ足を運んでくださっていました。
事前にホームページでも反物の色柄をご覧になっていたそうですが、パソコンやスマホ越しだと「実際の色目」や「顔映り」がイメージしづらいと感じられていたので来店頂いていました。
こういったご意見は多くのお客様からもあるのでホームページ上の画像の色目には今以上に気を付けないといけないのですが、着物は光の加減や生地の質感によって色の見え方が変わるため、可能であれば実物を手に取って確認していただくことがよいと思います。
直接反物を見ながら色合いを再度確かめたり、顔映りを合わせてみたりしながら、「これだ」という一着を見つけ、ご購入頂きました。
お選びいただいたのは、単物(反物)から仕立てるオーダー着物。体型に合わせた寸法調整ができるため、より動きやすく、美しい着姿を実現できます。
こだわったのは「袖の長さ(裄丈)」
日本舞踊では、踊りの所作の中で袖口を掴む動きが重要な役割を果たすそうです。既製品の裄丈では、動きに合わせた袖さばきがやや窮屈に感じられることもあるため、今回は通常よりも裄丈を長めにしたお仕立てすることになりました。
裄丈とは、首の付け根(背中心)から肩を通り、手首のくるぶしまでの長さを測った寸法のことです。
最近は洋服でも手首ギリギリまでの長さのものを多いので、既製品で標準的な着物の裄丈では短く感じる方も多くいらっしゃいます。
とはいえ裄丈が短すぎても、腕が突き出たように見えるのでこだわるかもいらっします。
今回のお客様の場合はオーダー着物だからこそ、そういった細かなこだわりを調整できるのも選ばれたポイントの一つでした。
お仕立て期間
仕立てには海外ミシンで縫製をし、お渡しまでには約2ヶ月ほどかかります。時間に余裕をもってご依頼いただければと思います
単衣着物は、裏地がない分、軽やかで風通しが良く、特に舞台で動きの多い日本舞踊においては、動きやすさと涼しさを兼ね備えた最適な装いです。今回お選びいただいた色味も、舞台映えする上品なトーン。出来上がり後、実際に舞われる姿が今からとても楽しみです。
男着物の加藤商店では日本舞踊、茶道、能楽、居合用など、用途に応じた着物のご相談も承っております。サイズにこだわりたい方、自分にぴったりの一着をお探しの方はぜひお気軽にご相談ください。